蜂と英雄
第10話
冷たい空気が流れている。
鏡のように磨き上げられた大理石の床だけがその原因ではない。
広く、暗く、そして静寂に包まれた空間。
腕の中に意識を失ったアンジェラを抱いたまま、ベスパはそこに座り込んでいた。
(ここは……?)
薄暗くてよく見えないが、どこか神殿のような仰々しい建物に似ている。もっとも神聖とはほど遠い、禍々しい気配を漂わせるものだったが。
(……!)
静寂の中、どこからか鳥肌の立つ視線を感じる。
ひとつやふたつではなく、前後左右の全てからいくつも。
物音もしない中での感覚が、余計に不安を駆り立てていく。
かといって状況がわからぬまま動き回るのは得策ではないと判断し、ベスパは身構えながらじっと様子を覗う。眼が暗闇に慣れてくると、自分を取り囲むそれらを見て思わず息を飲んだ。
今にも動きそうなほど精巧な造形と、生々しい質感を持ち、光のない瞳でこちらを見つめてくる石像の群れ。
そして石像が象るものは、人間の姿ではなかった。
(魔物……?)
顎に生え揃う牙と、大きく曲がった角。
隆々と盛り上がった鋼のような筋肉を持つ上半身。
老人のように折れ曲がッた背には大小様々な鋭い甲殻――あるいは骨らしき物が不揃いに突き出している。
地面に届くほど長い腕の肘から手首にかけて、コウモリの翼がヒレのように生えており、指先から伸びる爪は鋭利な刃物そのもの。
地面を踏みしめている両脚は山羊のそれであり、硬い剛毛とひづめがある。
その姿は、まさに魔物そのものと呼ぶにふさわしいだろう。
一体ずつ姿は異なり、生命を吹き込まれたが如き迫力を持つ魔物の石像。
それが生け贄の羊を眺めるかの如く、ベスパを凝視していたのだ。
(誰がこんな……)
得体の知れない雰囲気に、冷たい汗が頬を伝っていく。
魔界にも動く石像のモンスター(ガーゴイル)などが存在するが、それはあくまで無機質な、ある意味機械に近い。
だが目の前にある石像からは、何か強い情念のようなものが感じられた。
それが見る者に、生きているような錯覚を与えるのだろうか。
カツン。カツン。カツン――
やがて遠くの方から、革靴が床を踏む音が聞こえてきた。
音は次第に大きくなり、ベスパ達の方へ近付いている。
そして、暗闇の向こうから低く響き渡る声が聞こえてきた。
「芸術にとって重要な事は――その作品が意図するものを、より明確に伝えるリアリティであるとワシは考える。表現の形は様々だが、傑作と呼ばれる作品は例外なく見る者を魅了し、その印象を強く心に焼き付けておる。形こそ違えど、そこにリアリティがあるからじゃ。見た物を正確に表現するリアリティ、己の内面に見えた世界を表現するリアリティ……時には奇妙な模様にしか見えぬものですら、感覚に納得させてしまうリアリティこそ芸術の本質なのじゃよ」
「ルシエンテス!」
「いや、お前さんには少々難しい話じゃったかな。ともあれようこそ、ワシの住処へ」
ベスパの前に現れる、白髪の老紳士ルシエンテス。
ブラウンのスーツと、同色のハットを深めに被り、優雅な佇まいを見せている。
だが姿こそ紳士であっても、その正体は極めて残忍、そして邪悪。
彼こそが様々な事件を次々に引き起こし続けているのだから。
ハットの鍔からベスパを見つめる瞳は、底知れぬ邪気に冷たく輝いていた。
「それにしても……あれを奪われてしまいよるとはな。愚か者めが」
彼の蔑みに満ちた目と声は、意識を失ったままの幼い少女に向けられていた。
「ジジイ……お前ッ!」
今にも噛み付かんばかりの形相で叫びながらも、ベスパはアンジェラをしっかりと抱きかかえて庇っていた。彼女はよく知っていた。役目を全うできなかったしもべの末路を。
ルシエンテスはさらに一歩踏み出し、アンジェラをじっと睨みつける。
「この子を……殺すのか?」
「それで片が付くならばな。じゃが……今それをしたところで何の得も無かろう。こやつにはまだ、役目が残っておるんでな」
己の損得で動く連中の言う事は、こういう場面に限り意外に信用できる。役目が残っている以上、それを果たすまでアンジェラを手に掛ける可能性は低いと見ていい。わずかに安堵したベスパだったが、心に引っかかるものが消えたわけではなかった。
「お前は……なぜこんな子供を使う? それにあの魔力は……」
「それを聞いてどうする。子供の姿に情が移ったか? 近頃の魔族様は優しいんじゃなあ」
「黙れッ!」
「ベスパよ。力ある者が手下を作る事がそんなに珍しいかね?」
「ただの使い魔ならあたしだって気にしないさ。だけど……人間の子供があんなケタ違いの魔力を放つなんて、普通じゃ考えられない」
「気に入ってもらえたかね。それは結構」
「ふざけるな! この子の身体は……例えるならオモチャの車に、本物のエンジンが乗っかってるようなものじゃないかっ。いつ壊れたっておかしくないんだよ」
「ほう……乳のでかい娘はアホじゃと聞いたが、意外に鋭いではないか」
「やかましいわッ!」
胸と顔を交互に見て助平な笑みを浮かべる老人に、堪忍袋の緒がブチブチと激しく音を立てていく。
「胸の大きさは関係ないだろ! どいつもこいつも私をアホ呼ばわりしやがって!」
ベスパはフルパワーで霊波を撃ち出すが、ルシエンテスは軽やかにそれをかわしながら笑う。
「ファファファ、ユーモアちゅうやつじゃよ。興奮すると体に悪いぞ?」
「こ……のジジイ……いいから質問に答えな!!」
ルシエンテスは髭をさすりながら、しかし再び冷徹な瞳に戻ってベスパを見つめる。
「ふむ。答えてやらんとお前はしつこそうじゃしな。順を追って話してやろうか」
ルシエンテスは語り出す。
その少女――アンジェラの魂が何であったのか、なぜ選ばれる事になったのかを――
孤独と呼ぶにはあまりにも深い暗闇に、じっと身を浮かべていた魂。
生まれて間もなく父親に焼かれ、唯一自分を庇護する存在だったはずの母親に疎まれ、敵意しか知る事ができなかったその魂は、肉体とこの世界全てとの繋がりを絶ってしまう。
そうすることでしか、彼女が自身の安息を保つ術は残されていなかったのだ。
最も深い暗闇に溶け込んだ魂は、闇の深淵より溢れ出でる根源のエネルギー、すなわち魔力との高い親和性を獲得した。その結果、人間や並の魔族では決して到達できぬ深い次元から、魔力を呼び出し纏うことが出来た。
さらに全ての肉体的感覚を閉じた事は、残された感覚である第六感を飛躍的に増強し、膨大な魔力のコントロールを可能とする。
類い希な能力を秘めながら、彼女の魂は知識も感情も芽生えさせぬまま、じっとそこで終わりの時を待っているだけだった。
使い魔の素材として、これほど理想的なものが他にあるだろうか。
ルシエンテスは優秀な使い魔の核を探していた時にこの魂を見つけ、現代の知識と肉体を得るために憑依した老人の孫娘に移したのだった。
必要な知識や術だけを刷り込み、価値観を与え――名を与える事で少女の魂は完全に支配され、魔導師の絶対忠実なしもべとしてこの世に舞い戻る。
それがアンジェラという少女だった。
「――魔力の強さ故に、長時間パワーを出すには向いておらんのが欠点じゃが、ナックラヴィーと死霊使いの術で補っておる。ちなみにワシのボディになっとる人間は、確かゴーリキとか言うたが、良い鍛え方をされておるんで気に入って……と、無駄口が過ぎたか。まぁ、こんなところじゃな。気が済んだか?」
ベスパは絶句する。
両腕に抱く小さな存在が背負わされた運命は、あまりに重く、哀しいものだった。
ふと、アンジェラを抱きしめる胸の内から、奇妙な感情が湧き上がってきて抑えられない。
この気持ちは何だろう?
なぜ、この少女を見ていると胸が締め付けられそうになるのか。
自分自身にいくら問うてみても、その理由はわからない。
そんな曖昧な感情より先に、知っておかねばならない事がある。ベスパは思いを払拭し、尋ねた。
「もうひとつ聞かせて。あんたはテュポンとかいう魔神を復活させようとしてるみたいだけど、目的は何? 世界秩序の転覆か、それとも……アシュ様がいなくなって空いた魔神の座?」
ルシエンテスはベスパの言葉にピクリと眉を動かし、無言のまま視線を彼女に向ける。そしてゆっくりとハットの鍔をつまんでうつむくと、小刻みに肩を震わせ笑い始めた。
「なるほどなるほど、面白い発想じゃな。秩序の転覆に魔神の座か。確かにこれくらいやらんとダメなんじゃろうなぁ、クックック」
「なに……?」
これほどの実力を持ち、なおかつ引き起こした事件を顧みても、それが目的だろうとベスパは思い込んでいた。しかし目の前の老人の態度は予想に反し、言われるまでそれを考えてもいない様子だった。
(だとしたら、真の狙いは別に――?)
心に広がる疑惑の暗雲は、未だ重く立ちこめたままだった。
「さて……質問に答えるのもここまでじゃ。今度はワシが聞かせてもらおうか。何故あれを奪われるような事になってしまったのか、その理由を」
再び冷徹な表情に戻ったルシエンテスは、一歩踏み出してアンジェラに手を伸ばす。いくつもの皺が刻まれた手は、本来ならば孫を思う温かい物のはずである。しかし今のそれからは慈しみの情など微塵も感じられはしない。
「何をする!」
「取って食いはせん。すこし記憶を覗かせてもらうだけじゃ」
ルシエンテスの手が触れた瞬間、アンジェラは一瞬だけピクリと動いたが、依然として意識は失ったままだった。しばらくするとルシエンテスは手を離し、真っ白な髭をさすりながら考え込む。
アンジェラの中に、新たな感情がいくつも芽生えつつある。
それを読み取ったルシエンテスは、不敵な笑みを浮かべてベスパに目をやり、悪意渦巻く策謀を巡らせる。
「目覚めよアンジェラ。役割も果たさぬまま眠る事など許さぬ」
「う……」
ルシエンテスの言葉にうなされるように、苦しそうな表情のまま少女は目覚めた。
彼女は無言のままベスパの腕の中から離れるが、数歩進んだところで膝が折れ、両手を床についてうなだれてしまう。
「立て」
「は……い」
いたわりを微塵も感じさせない言葉にも、アンジェラは素直に従おうとする。しかし顔を上げるだけでも辛いようで、なかなか立ち上がる事が出来ずにいる。
「待ちなよ! あれだけの力を解放した後なんだ、少しくらい休ませないと……!」
ベスパが駆け寄りその小さな肩を支えてやるが、アンジェラは首を振り、あくまで一人で立ち上がろうとする。
見えない何かに背中を押されるように、それが出来ない自分に怯えるように。
小さな体の力を振り絞って、彼女は震えながら立ち上がった。
「ど、どうしてそこまで……?」
「お前は人の話を聞いておったのか? こやつはワシの道具としてここにおるのだ。用をなさぬなら、存在する価値のないゴミ以下よ。それは理解させてあるのでな」
「だからって、無理を続けて死んだら意味ないだろ!」
「役目を全うし壊れるなら、それが道具の本望じゃろうが。お前もそうではなかったのか」
(私は……!)
その瞬間、ようやく理解した。
なぜ自分がアンジェラに特別な感情を抱くようになったのか。
なぜアンジェラの事がこれほどまでに心に引っかかるのか。
そうだ――まるであの子は――
ようやく自分の気持ちの謎が解けた所へ、ベスパの心を打ち砕くような一言が投げかけられた。
「それともワシが優しくしてやれば満足なのか? 物好きなお前の創造主と同じように」
「お、お前! まさか……まさかッ!?」
私の心まで――
そう理解した瞬間、全身を凄まじい悪寒と屈辱感が支配した。
誰にでも、心の中に踏み込ませたくない領域というものがある。
魔族とてそれは変わらず、女性であるならばなおさらにだ。
だが、この男はそこへ無断で忍び込んだあげく、土足で踏みにじったのだ。
抑えがたい憎悪と殺意が、煉獄の炎よりも激しく心を焼き尽くす。
「殺してやる!」
何もかも忘れて目の前の存在を引き裂いてやりたかった。
しかしその刹那、アンジェラの喉元にステッキの先があてがわれる。
それが、魔族の衝動に呑み込まれかけたベスパの心を引き戻した。
激しく突き上げる感情を、血が滲みそうなほど強く噛み殺し、屈辱に耐えながら睨む事しかできなかった。
「どうした、ワシを殺さんのか? 子供の姿というのは効果てきめんじゃなぁ。妙な行動をしても怪しまれず、倫理観やプライド、浅ましい欲望のおかげで誰もが手を出す事を躊躇い、油断してしまう。それが命取りよ。お前のように情けをかけた輩ほど、真っ先に死んでいったもんじゃ……ファファファ!」
「どこまでお前は……ッ!」
「くだらんな……実にくだらぬ。ほんの気まぐれに過ぎぬ感情に振り回され、己を見失う。だから些細な事で足元をすくわれ、無駄な回り道をする事になるのだ。お前の創造主が良い例よ」
「お前に何がわかる! その穢れた口であの人を語るなぁッ!」
ベスパは耐えられなかった。許せなかった。
無断で拝借した記憶で、知ったような口をきくこの男が。
自分とて魔界に身を置いてはいるが、これほど醜悪で穢れきった存在は今まで見た事がない。
悔しさのあまり呼吸は乱れ、頬を紅潮させ――いつのまにか瞳は涙で滲んでいた。
「そんなことよりも……あれを取り返すために協力してもらうぞ。お前が原因でもあるのじゃからな」
「はいわかりました、って素直に従うほど、私が可愛く見えるのかい?」
「言う事の聞かせ方などいくらでもあるわ。例えばの……アンジェラに、お前の仲間を残らず抹殺せよと命令してみるというのはどうじゃ?」
「!?」
「魔力だけなら、こやつはワシよりも強力じゃからな。はたしてお前さんの仲間に止められるかのう。もっとも……どうなるかは全てお前次第だがな」
「ち、ちくしょう……」
「ククク、お前といい、ジークとかいう小僧といい、実に滑稽じゃ……とても魔族とは思えぬ考え方をする。しかしその結果が互いに殺し合うことになるとは、つくづく皮肉じゃと思わんかね?」
「最低のクソ野郎だね、あんたは!」
「おーおー、良い表情をしとる。小僧とお前が相まみえた時それがどう変わるか、楽しみにしておるぞ。ファファファファ!」
嘲笑う声が大きく反響し、周囲を取り囲む石像もベスパを笑っているかのようであった。
それを見つめる幼い少女の瞳には、今にも崩れてしまいそうな『温かい人』が映っていた。
心に雫がこぼれ、波紋が広がっていく。
ほんのわずかな、小さい波紋。
しかし確実に、少女の心の奥底が揺り動かされた事を、彼女以外の誰も知る事はなかった――
フォロ・ロマーノでの戦いがあってから、三日が経とうとしていた。
ワルキューレが敵の道具――それもテュポン復活の鍵になるであろう宝玉を奪取した事もあって、勝利ムード漂う魔族とGS達であったが、問題が全て解決したわけではなかった。
五発の核弾頭は依然として敵の手にあるうえ、謎の宝玉の分析も急がなくてはならなかった。大地のエネルギーで満たされた宝玉はうかつに手を触れたり、人間界から持ち出すべきではないという判断から、オカルトGメンのイタリア支部を前線基地とし、そこで保管・調査する事になった。
ルシエンテスの反撃に備えてGS達も警戒に当たっていたが、この三日間は何事もなく過ぎていった。
横島と雪之丞、そしてピートとタイガーの四人は昼食を終えて、公園のベンチで休憩を取っていた。行き交う人々をぼんやり見つめ、彼らは視線を交える事もなく話し始めた。
「しかし……アレだな」
「あん?」
「なんですか?」
「どうしたんですかいノー?」
「俺はこうして久々にイタリアにやってきたわけだが……ひとつ驚いた事がある」
「ああ、アレか」
「私は見慣れていますが」
「確かに……ワッシも驚いたですけん」
「魔鈴さんが作ってくれるイタリア料理も美味いし、街並みも凄いし、パツキンねーちゃんももちろんたまらんのだが――」
横島と雪之丞、そしてタイガーはある一点を見つめてうんうんと頷く。
「まさか本当に、モグラが地面を盛り上げながら進んでいくとはなぁ」
「えーっと……」
横島の視線の先には花壇があり、その土がぼこぼこと盛がって動いている。その周りにはうずらがウロチョロしていたりと、イタリアの公園は日本のそれとは趣がまったく異なっていた。
言葉に詰まるピートを気に留めず、横島と雪之丞、タイガーはそれを見つめている。
「こんなのト○とジェ○ーくらいでしか見た事無かったもんなぁ」
「正直、最初は何かと思ったぜ」
「子供時代の憧れですノー。探したけど見つからんかったけぇ、感激ジャ」
「うんうん、だよなぁ」
しみじみと遠い目で語り出す三人に何と突っ込んで良いかわからず、ピートはただ苦笑いをするばかり。とりあえず話題の矛先を変えてみようと、ピートは再び口を開く。
「それよりも、今回の事件で気になる事とかありませんでしたか?」
「気になる事か……あるぜ、大いにな」
横島の呟きに、雪之丞もタイガーも真剣な顔で頷く。
「そ、それは一体……?」
ゴクリと息を飲むピートを見た後、横島、雪之丞、タイガーはベンチから立ち上がり、わなわなと拳を握り締める。
「なんでこんなに俺達の出番が少ないんだァァァァ!」
「いや、タイガーはいつもの事ですが」
「ああ、確かに」
「違いねぇな」
「何故!? ピートさんまで酷いッ!?」
ショックを受けて固まるタイガーと、思わずこぼした本音をフォローしようとしているピートをよそに、横島と雪之丞はコソコソと話し始める。
「結局ベスパは戻ってきてないんだよな。ジークは何してるんだ?」
「奴は会議やら何やらで魔界に行っちまったが、すぐに帰るって言ってたぜ。それより大事なブツを奪われたってのに、三日も音沙汰のねぇ敵の動きが気になるんだがな」
「ああ、そろそろ何か仕掛けて来るかもな。んで、ベスパは敵に寝返ったって噂を聞いたけど、本当なのか?」
「事情があるんだろ。そんな尻の軽い奴には見えなかったぜ、あの女」
「……だな。俺もそう思う」
二人が神妙な面持ちで話し合っていると、連絡用に渡された携帯電話が鳴り響く。
横島は通話ボタンを押して耳に当てると、二、三度頷いて通話を切る。
「非常招集だ、急いで基地に戻るぞ」
四人は瞬時に表情を引き締め、オカルトGメンの基地へ駆けていく。
ついに、敵が動き出したのだ。
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